まず、久山町研究とは?
九州大学において1961 年から、福岡市に隣接した糟屋郡久山町(人口約8,400人)の住民を対象に脳卒中、心血管疾患などの疫学調査を行っている前向きの追跡コホート研究。
久山町住民は全国平均とほぼ同じ年齢・職業分布を持っており、偏りのほとんどない平均的な日本人集団であることから、日本人の様々な病気の検証につながる期待される研究である。
この久山町研究と神戸大学の石田先生の共同研究を今回紹介したいと思う。
論文
Serum elaidic acid concentration and risk of dementia
血液中のエライジック酸(工業的トランス脂肪酸の一つ)の濃度と痴呆のリスク
The Hisayama study(久山町研究)
九州大学、神戸大学(石田先生ら) Neurology. Oct 23. 2019.
方法
久山町の60才以上の住民1,760人(参加率83.4%)を対象に2002年と2003年に実施。
その内132人は既に痴呆を発症しているなどの理由で除外。
1,628人(男性703人、女性925人)の血液を採取、2012年まで追跡し、痴呆の発症者などを調査
結果
377人が痴呆を発症。
内訳はアルツハイマー型247人、血管性痴呆102人。
血液中(血清中)のエライジン酸の高値が統計的に有意に痴呆の発症と関連していた。
これらの関連は飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸などの摂取量で補正した場合もすべての痴呆では有意に関連していた。
エライジン酸はトランス脂肪酸の代表格。
40歳以降の食生活(トランス脂肪酸を多く摂取すること)がその後の痴呆のリスクを60%ほど引き上げてしまうという怖いデータである。
この研究は久山町だけでなく、日本全体にも言えるデータのため食生活の見直しが必要と言える。
久山町研究というものを、はじめて知りました。
日本の縮図のような町なので、信頼できるデータですね。
食生活と癌との関連性は知っていましたが、痴呆の要因でもあるんですね。
トランス脂肪酸を減らす生活を心がけたいです。
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