石田達郎先生の研究詳細

トランス脂肪酸について

論文

Elevated Serum Elaidic Acid Predicts Risk of Repeat Revascularization After Percutaneous Coronary Intervention in Japan
Circulation Journal Vol.83,May 2019 神戸大学・石田達郎ら

内容

112人の術後の患者を対象に2 年間追跡した。血清中のLDL、中性脂肪、エライジン酸(トランス脂肪酸の1 種)、薬の種類、ステント治療の種類、年齢、性別、体重、その他の病気(メタボリックシンドローム、高血圧、脂質異常症など)などの項目を調査した。

結果1

distribution of elaidic acid

グラフは患者112 人の血清中のエライジン酸濃度の分布。
平均してしまうと、10~16nmol/L 当りになるが、30を超える人もいる。このように、人によって食生活にバラつきがあることがわかる。

上表をご覧ください。
グループ分けについてQ1~Q4グループ分けは血清中のエライジン酸濃度で4 グループに分けている。Q1が一番低く、Q4が一番高いグループである。

結果2

再発リスクはQ1グループと比較して、Q3グループ、Q4グループともに統計的に有意に高かった。
実際の再発人数として見てみても、100 人当たりに換算するとQ3、Q4グループは30人以上の再発という結果だった。
これらの結果は、他の要因(コレステロールやステント治療の種類の違い)を補正しても、エライジン酸濃度が高いグループ(Q4)が統計的に有意に再発リスクが高かった。

代表:伊澤
代表:伊澤

他の神戸大学の研究でも、入院患者902人を対象にしたエライジン酸濃度の分布調査があるが、前頁グラフと同じようにバラつきがあり、エライジン酸の濃度は高い人で40 近い数値だった。
また、年齢別の相関図にすると、エライジン酸濃度と年齢は逆相関を示していた。
これらのことから、トランス脂肪酸の摂取量は人によってバラつきがあり、特に若い年齢層ほど多いことがわかる。
政府が言っている「日本人は摂取量が少ないから規制する必要なし」という見解には疑問が残る。

実際に日本の調査で、この論文のように冠状動脈疾患の患者の再発との関連性が分かってきたことが今後の規制への道に繋がるといいのだが。

会員スタッフ
会員スタッフ

若い人ほどトランス脂肪酸を摂っているんですね。コンビニやファストフードに頼りがちだからかな?

コメント

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